2017年5月4日木曜日

のびのびの手

小3の男の子、Uくんの手のひら。両手とも見事なマスカケ線プラス頭脳線。



マスカケ線は、頭脳線と感情線が繋がったもので手のひらにまさに「て」と書いたような相。よく芸能人に多いと言われるが、非凡な才能の持ち主とよみとれる。

Uくんはいかにもクラスで目立ってそうな活発でオシャレな男の子で、すでに芽生えているそのスターぶりに大きく納得。短めの指に張り出した生命線も加わって、フットワークが軽くエネルギッシュでやんちゃがすぎるところもありそうだけど、仲間から信頼される明るいリーダーって感じだ。

マスカケ線はそれ自体が感情線と頭脳線なので、Uくんみたいにさらに頭脳線があるということは頭脳線が二本あることになる。Uくんに思わず「キミは天才だね!」と調子よく言ってしまったが、こういう人は1つの考えにとらわれないスケールのある発想をしたりする。以前に見せてもらった、いつもありそうでなかったものをつくり出している著名なデザイナーさんの手もそうだった。

なんだかほめてばかりだけど、非凡な才能があるってことはそれはそれで苦労することも多い。どうしたって普通ではいられらないわけで、出る杭を嫌う世の中では生きづらい。だからって平凡に暮らそうとすると何かと無理が生じやすく、せっかくの才能が不発のまましょげちゃう人もいる。

私の母はよくマスカケのことを「イチかバチか相」なんて言っていたけど、この相の人は良くも悪くも規格外な生き方が向いているらしい。のびのびとその才能を発揮するのに、“コンプライアンス”なんて言葉が日常語化した、いまの日本は窮屈そうだ。

ただ、こういう健やかに自分本位(自分勝手とは違う)で自由な人がいると、森林浴みたいな効果で、まわりものびのびとしてくるもの。別にマスカケな人じゃなくても、公園でかけずりまわる小さい子なんかもそうだ。その存在自体が「自然」なのである。相手が自然なだけに翻弄されることもあるが、凝り固まったオトナの世界に風を送り込んでくれる貴重な存在だ。

そういえば、チンパンジーの手もほとんどマスカケらしい。マスカケ線は感情線と頭脳線を分離させていない。つまり、感じることと考えることが一体だから本音しかない。お世辞も言えないし、建前もない。

そう考えると、人間社会で生きていくのはちょっと大変だ。もしかして、この社会を築く過程で、人間の頭脳線と感情線は分かれていったんだろうか? 逆にチンパンジーからしてみれば、人間の生き方の方がまどろこしくて遅れてみえるのかもしれない。

かつて誰もが持っていた、のびのびとした自然を思い出させてくれるたくましきマスカケ線の人よ! そんなあなたたちが生きやすい世の中であってほしいと、Uくんの手のひらにひっそりと祈る。