彼女は30代で、未婚で、企業の広報として働いている。仕事は忙しく、理不尽な要求も多く、心身ともに疲弊する日々、らしい。
そんな彼女が羨望してやまない“友蔵”とは、「ちびまるこちゃん」のおじいちゃんのこと。日なが一日のんびり縁側などでお茶をすすって、孫のまることの交流を何より楽しみに生きている、そんな友蔵みたいな暮らしをしたいという。
つまり、働かないで、誰にも責められず、ごはんもちゃんと食べられて、大事な人もいるという暮らしに、彼女は心底憧れている。そう、それは
=隠居。
そういえば江戸時代では、四十でもう「ご隠居さん」になれた。平均寿命が早かったというのとは別に、そういう役割の判然としない存在を許容できた懐のある世の中だったんじゃないか。
人生100年と言い出した現代日本では、定年も70に引き延ばすかだの、生涯現役ムードも強まり、実際にビルの清掃や警備の仕事を年配の方がされているのをよく見かけるようになった。
「幸福」は、誰か(何か)に必要とされている方が感じやすいという脳科学的な観点からすれば、仕事をしている方が人は幸せに近いともいえなくもないが、一生働くのか〜と考えると、なんともしんどい気分になるのも確か。
(AIが台頭することにより人間は働かなくてもベーシックインカムで暮らしていける21世紀型“ニュー隠居ライフ”を私は渇望します!)
この先、この国で彼女が友蔵になれる道はあるだろうか? 彼女の小さな手のひらを眺めながら考えてみる。
マスカケ+頭脳線と、短い線が重なるようにできた金星環。マスカケ自体に頭脳線の意味もあるので2本の頭脳線で考察力たくましく、金星環と感情線のヒダの多さもあって、野生の勘というべきか、とにかく察しがよく、人の倍考えて感じる人。感受性が強い分傷つきやすいのに、加えて根が真面目で自分の正義に忠実。その正義感からか売られてない喧嘩まで買っちゃうし、戦闘後に傷だらけになって「友蔵になりたい〜」と嘆き落ち込んでも、小さな手の人らしく、またよっしゃ!と立ち上がる。
これじゃ生きるのにエネルギー消費も半端ない(彼女がごはん大盛りを常にするのもそのせいか?)。友蔵みたいに省エネでのほほんと生きることに憧れるのも分かる気もする。ただ、本人が望むほど人生をサボれる性質ではないのも確かで、察しのいい彼女にその自覚が薄いのが謎である(いや、本当は分かっているのか?)。とにかく、己の行く先にある問題は、自分で考え立ち向かわなきゃ気がすまない。誰かに頼るのはちょっと苦手。ってことは、一生働いちゃうタイプ。
うーん、ぜんぜん、友蔵、向いてない!!!
本人のプランとしては専業主婦になって友蔵暮らしを実現するんだそうだけど、そんなの相当裕福な相手でなければ難しいよね。それと、家にあんまりいない人がいい。誰かと一緒にいすぎちゃうと、彼女の野生の勘がビビビッと発動し、正義感と戦闘意欲を刺激、お互い傷だらけとなりかねない。好きな人にも忠誠心強いタイプだけど、ほどほどの距離感をキープした方がお互いのためと伝えておきます。
そうしてみた結婚線からは、ちょっと年下との縁ありとある。はて、彼女より年下で、そんな稼ぎが良くて余裕のある男子がそうそういるだろうか? どちらかというと彼女が友蔵を養う方なんじゃ、、、!
ま、これ以上は手相で分かる話ではない。
結局、彼女に私が言えることはひとつ。
あなたは友蔵にならなくても、たくましく人生をエンジョイできます!