私がテレビ(「クレイジージャーニー」大好き!)で見たカナダのボディハッカーさんは 、頭頂部にシリコンを入れて作ったツノが二本、顔半分にレースのように細かい白いタトゥが施され、眉間、耳、鼻、顎など顔まわりだけでもピアス15個くらい、首にもぎっしりタトゥ、そして手には自宅やバイクの鍵にもなっているマイクロチップを埋め込み済み、という仕様の方だった。
道ですれ違ったら二度見どころじゃすまされないお顔である。そんなクレイジー道まっしぐらなボディハッカーさんの手のひらがテレビ画面に映し出され、これまた釘付けになりました。
こ、これは、めっちゃ、ノー・クレイジー!!!
頭脳線と生命線の根元がしっかりくっついていて、石橋叩いても渡らないかもしれない用心深さ。頭脳線は横に長く、リアリストで合理的なことを好み、徹底的に考えて行動するので無茶なことはまずしない。感情線もおだやかに長く、愛情深く生真面目さが伺える。ちなみに張り出した生命線に乱れもなくとても健やか。
なんと誠実な手なんだろう。とてもツノが生えたイかれた人には思えない。何も知らないでこの手だけを見せられたら、地味なスーツ姿で役所なんかで働いていて親戚のおばちゃんたちがこぞってお見合いさせたがるような実直な青年を思い浮かべるだろう。
意外性満載で呆然とするが、 いや、だからなのか。
身体改造なんてふざけてやったら命とりだ、誠実な人でなければやっていけないのかもしれない。自身もボディハッキングの施術を仕事にしているという彼は、指先が丸く器用そう。それに長く横に伸びる頭脳線は、医者に向いてるといわれる線なので、同じく身体を扱うボディハッキング師(?)にもうってつけなのかもしれない。きっと人からも信頼される腕前なんだろう。顔だってよくみればやさしそうじゃないか。
ボディハッカーさんは、ヘンタイであることにとても真摯な人なのだ。
「創造性豊かな人間はヘンタイである」とタモリさんが言っていたことを思い出す。創造することに誠実であるがゆえにヘンタイになるのであり、ヘンタイになるには誠実さが不可欠ともいえる。また、ヘンタイとは精神の有り様なのだから、外見でそれが伝わるか伝わらないかは別問題なのだ。
これは「人は見た目では判断できない」というよくある教訓ともちょっと違う。ボディハッカーさんのクレイジーな見た目があった上で、その誠実さが見えるか見えないか。こちらの教養が問われているようで、ドキッとする。
当初、黒い森に潜む悪魔のように見えたそのお顔が、新進気鋭のエンジェルに思えてきた。これも手のひらのお導きなんだろうか。私もいつかこのエンジェルにマイクロチップでも入れてもらおうか、なんて思ったり。。。