2020年9月4日金曜日

ドビー官房長官

 ぼんやりテレビを見ていて、菅官房長官って何かに雰囲気似てるなーと思ってふと浮かんだのが、ハリーポッターに出てくる屋敷しもべ妖精のドビーだった。しもべというだけあってご主人様に絶対服従で、命令に背いたら自分で自分を罰するなんとも痛ましい妖精。映画のなかでも怯えきったおどおどとした目つきが印象的なキャラだった。

 まだ「令和おじさん」の頃はそんな顔つきではなかった気がしたので、昔の写真をネット検索してみると、いちばん変化を感じるのはやっぱり目つき。いまの目は焦点があってないような、生気を奪われているような、不穏な感じすらしてしまう(個人の感想です)。

 菅官房長官に限らず、政治家の顔って就任当初から結構変化する。顔にじんわり灰汁が出てくるというか。ふだんどういう風にものを見て、どんな振る舞いをして、何を肝に据えているのか。権力を持った人特有の何かが、瑣末なことも含めその人の顔に滲み出ているように感じる。生き方が顔に出る例としては、分かりやすい職業なのかも。

 手相も変化するけど、なかなか見られない他人の手のひらと違って、顔は変化が観察しやすいから面白い。目はもちろん、口も、口角の上がり下がりや歪み具合なんかにその人のコンディションが出ていたりする。別に特別、観相学を勉強していなくても、空を見て「あ、雨降るな」と察知するように、誰でも人の顔をみたら自然と何か察知しているもの。なのでいまの全員マスク状態は、顔観察的にはちょっとつまらない。

 最近は、生身の人に会うことがめっきり減り、会ったところでマスクにソーシャル・ディスタンスで、自分の他者への身体察知力みたいなものがどんどん薄れているような気がする。このままコミュニケーションはもっぱら仮想空間のなか、なんて世の中に本気でシフトしてしまったらどうしよう。アバター占いとかやりだすんだろうか?

 身体は意識よりも先に動くものだという。体が眠いから眠るのであって、意識して眠ることはできない。その自然の動きにその人の思考が連動して、その人らしさや個性が身体に刻まれていく。だから手相も顔つきもみんな違い、変わっていくのも自然なこと。

 もし、身体的に動かずにすべて脳からのコントロールで完結される世界が中心になったら、手のひらや顔からは何をよみとることができるんだろう? 昔の手相の指南書に「手相とは脳相のこと」って書いてあったけど、仮想空間に生息している人の生身の方の頭をパカっとあけて、脳みそを直接みたらいいのか???

 ま、知り得ない未来を憂いるよりも、ひとまず明日も生きるためには、このポンコツな我が身と付き合っていくしかないし、この国の政治がこのまま腐らないように目を離してはいけない。

 ドビー官房長官は、さっさとご主人様から靴下でもマスクでも奪ったらまた当初の平穏な顔に戻るれるんじゃないかと勝手に思っていたけど(屋敷しもべ妖精はご主人様から衣類をもらうと自由になれる)、今度は自らご主人様(?)になろうとしているらしい。テレビで総裁選出馬の意向を語っていたのを見たけど、なんだか目つきがさらに影っていたような……。

 ハリーの邪魔ばかりしていたようで実はハリーを助けるために尽力していたドビーのように、総理になったとたん、派閥が大好きなオワコンおじさんたちの掌を返して溜まりに溜まった膿を全放出してくれたりしないだろうか!と思わずドビー総理に一縷の望みもかけたくなる(一縷だけど)。

 政治家にはめずらしい聞く力に長けている横に突きでたその素敵な耳を活かして、オワコンおじさんたちの声ではなく、国民の声にちゃんと耳を傾けるリーダーになってほしいと願うばかり。

 

描いてみたらあまり似てなかった……